たった3ヶ月で偏差値40から関関同立に逆転合格する方法
模試のE判定も、参考書ルートも捨てろ。
合格者上位20%・関関同立6日程全勝を生んだ「過去問逆算勉強法」
著者:池田 紘規
はじめに
僕は、現役時代の大学受験に失敗しました。一般入試で受験した大学は、すべて不合格でした。
勉強していなかったわけではありません。むしろ、「どうすれば成績が上がるのか」を毎日のように考え、YouTubeで勉強法を調べ、SNSで参考書ルートを探し、「この単語帳を終えたら文法、その次は英文解釈、そのあと長文」と、いわゆる王道の順番をなぞろうとしていました。
それなりに時間も使いました。それでも、結果は出ませんでした。
今振り返ると、原因ははっきりしています。僕がしていたのは、「志望校に合格するための勉強」ではなく、「一般に正しいとされている受験勉強」だったからです。似ているようで、この二つはまったく違います。
浪人してから、僕が変えたのは勉強時間ではありません。勉強の設計そのものを変えました。最初に参考書を決めるのではなく、まず志望校の過去問を見る。そして、「この問題を解くために、今の自分には何が足りないのか」を分析する。単語が足りないなら単語を補う。文法が弱いなら文法を直す。構文が取れないなら英文解釈をする。本文は読めているのに設問で落とすなら、解き方そのものを修正する。
つまり、過去問 → 原因分析 → 必要な勉強 → 過去問で再検証。この循環を繰り返しました。
その結果、関西大学の一般入試を6日程受験し、6日程すべてに合格。さらに、合格者上位20%相当の特待生として合格することができました。
この本で伝えたいのは、特別な才能の話ではありません。現役時代に何を間違え、浪人後に何を変えたのか。そして、偏差値40台、E判定、残り3ヶ月という状況からでも、限られた時間をどこに使えば合格に近づけるのか。その考え方を、できるだけ再現できる形でまとめます。
第1章 まず「偏差値40」という数字を捨てろ
この本のタイトルには「偏差値40から」と書きました。しかし、最初に一つだけ伝えておきたいことがあります。僕は、受験勉強を偏差値から設計するべきではないと考えています。
偏差値40、50、60。E判定、C判定、A判定。数字は分かりやすいので、つい「英語の偏差値が低いから文法をやろう」「国語が平均以下だから現代文の問題集を増やそう」と考えたくなります。けれど、その数字だけでは、あなたが第一志望でなぜ失点するのかまでは分かりません。
理由は単純です。模試と、あなたが本番で受ける大学の試験は別の試験だからです。
模試で測る力と、志望校が要求する力は完全には一致しない
大学ごとに、問題形式、文章量、語彙レベル、設問の作り方、時間配分、知識の問われ方は違います。模試で文法問題を落としたとしても、第一志望では同じ形式がほとんど出ないかもしれない。逆に、模試で高い偏差値を取れていても、第一志望の長文では時間内に読み切れないかもしれません。
だから、模試は現在地を見る一つの材料にはなっても、学習設計の中心には置かない。僕が中心に置くのは、志望校の実際の入試問題です。
第2章 定期テストで点を取る勉強と、大学に受かる勉強は違う
学校の定期テストも同じです。本質的に学校の勉強そのものに価値は全くありません。だから「関関同立に合格するための学習計画」を立てる材料として、定期テストの点数をそのまま使うのは危険です。
定期テストには範囲があり、授業で扱った内容が中心です。一方、大学入試は範囲が広く、出題者も形式も要求される処理能力も違います。言ってしまえば、競技が違うのです。
学校の英語で80点だから関大英語でも80%取れるとは限りません。現代文の定期テストが40点だから、入試でも40%しか取れないとも限りません。したがって僕は、模試や定期テストを「参考情報」としては見ても、学習計画の中心には置きません。中心に置くのは、最初から最後まで本番の過去問です。
第3章 受験勉強で最初にやるべきことは「過去問」である
多くの受験生は、「まだ実力がないから過去問は早い」「単語や文法を完成させてから」「最後の1〜2ヶ月で過去問に入ろう」と考えます。僕は逆です。実力がないからこそ、最初に過去問を見ます。
何が足りないのか分からないまま勉強を始める方が、よほど危険だからです。
参考書を買う前に、過去問を見る
たとえば関西大学を志望しているなら、まず関大の英語を実際に見る。そして、「読めない」で終わらせず、原因を分解します。単語が分からないのか。一文が長くなると構造を取れないのか。時間をかければ読めるが処理速度が遅いのか。本文は読めているのに、設問で落としているのか。選択肢を切る基準がずれているのか。
「英語が苦手」「長文が苦手」という言葉は、学習計画を作るには粗すぎます。重要なのは、実際の入試問題で、どの処理に失敗しているのかまで突き止めることです。
第4章 「参考書ルート」をそのままやると危険な理由
SNSには、分かりやすい参考書ルートがたくさんあります。単語帳、文法、英文解釈、長文、そして最後に過去問。一つの道筋としては便利です。問題は、それを「全員が同じ順番で、同じ量だけやれば合格できる設計図」だと思ってしまうことです。
人によって、直すべき場所は違う
同じ関大志望でも、A君は単語力が足りない。B君は構文が取れない。C君は本文を読めるのに設問処理で落とす。D君は英語より日本史の失点が深刻。そんな4人に、まったく同じ教材を、同じ順番で、同じ期間やらせる必要はありません。
必要な治療が違うのに、全員に同じ薬を渡すようなものです。参考書ルートを先に決めるのではない。過去問で課題を見つけ、その課題を直すために教材を選ぶ。順番はここです。
第5章 アウトプット教材も、何でもいいわけではない
「アウトプットが大事」と聞いて、とにかく問題集を増やす受験生がいます。しかし、実戦力を測りたいのであれば、第一志望と大きく形式の違う問題ばかりを解いていても、判断材料としては弱くなります。
もちろん、知識の定着確認や特定分野の練習など、目的が明確なら問題集は有効です。僕が言いたいのは、実戦力を測る中心は、志望校の過去問に置くべきだということです。
本番で点が取れるかは、本番に近い問題で測る
関大に受かりたいなら関大の問題で測る。同志社なら同志社、関学なら関学、立命館なら立命館。非常に単純です。入試対策なのに、入試問題そのものをほとんど使わない方が、僕には不自然に思えます。
第6章 過去問は「点数を見るもの」ではない
では、過去問をひたすら解けばいいのか。もちろん違います。過去問を解いて、「今日は58%だった」「前回より5%上がった」と点数だけ記録して終えるなら、過去問を十分には活用できていません。
見るべきなのは、点数そのものではなく、その点数が生まれた原因です。
1問の失点を、具体的な原因まで分解する
英語で1問間違えた。そこで「ミスした」で終わらせない。単語なのか、熟語なのか、文構造なのか、代名詞の指示先なのか、因果関係なのか、設問の読み違いなのか、選択肢の比較ミスなのか、時間不足なのか。同じ1問の失点でも、原因によって次にやるべき勉強はまったく変わります。
第7章 僕の勉強法の基本構造
僕の勉強法を一つの流れにすると、こうなります。
- 過去問を解く
- 失敗した処理を特定する
- 原因を言語化する
- 不足している能力に分解する
- その能力を鍛える勉強を設計する
- 過去問で再検証する
重要なのは、過去問を解いたあとに「次は参考書の何ページを進めよう」と考えるのではなく、「自分の頭の中で、何ができるようになれば次は正解できるのか」と考えることです。
第8章 現代文は「量を解く」だけでは伸びない
現代文で特に大切なのは、問題数よりも思考の質です。「たくさん解けば慣れる」という考え方だけで進めると、間違った考え方をしたまま同じミスを反復することがあります。
間違った思考で100問解けば、100回分の練習にはなります。しかし、それは正しい解き方の練習とは限りません。現代文で変えるべきなのは、単なる演習量ではなく、自分の思考プロセスそのものです。
第9章 現代文で最初に言語化するのは「なぜ間違えたか」
たとえば4択問題で、自分は②を選び、正解は④だったとします。解説を読んで「ああ、④なのか」で終わってはいけません。なぜなら、自分が②を選んだ思考回路は、そのまま残っているからです。
最初に言葉にするべきなのは、「なぜ自分は②を正しいと思ったのか」です。
- 本文中に②と似た単語があったから正しいと思った。
- 前半だけ読んで、選択肢全体も正しいと思い込んだ。
- 本文よりも、自分の常識を優先して判断した。
- 筆者の主張ではなく、例として出た部分を主張だと捉えた。
- 一部分が本文と一致していたため、後半を十分に検討しなかった。
これが、あなたの誤答を生んだ思考プロセスです。ここを特定しなければ、次の問題でも似た形で間違えます。
第10章 次に「正解する人の思考プロセス」を言語化する
次に、正解までの思考を言語化します。「④が本文と合っている」だけでは足りません。本番で再現できる順番まで落とし込みます。
- 傍線部の理由を問われているので、まず前後の因果関係を確認する。
- 本文の主張はAそのものではなく、Aを例にして説明しているBである。
- ②は前半だけなら正しいが、後半に本文にない内容が加わっている。
- ④は表現こそ本文と違うが、意味と論理関係は一致している。
ここまで説明できて初めて、正解は「たまたま当たった答え」から「再現可能な解き方」に変わります。
第11章 現代文は「間違った思考」と「正しい思考」の差分を埋める
現代文の復習で最も重要なのは、自分の思考と正しい思考の差を見つけることです。
たとえば、自分は「本文と同じ単語がある選択肢を選んだ」。一方、正しい判断は「単語の一致ではなく、文全体の意味と論理関係が一致しているかを確認した」だった。
この場合の差分は、表面的な単語一致で判断する → 意味・論理関係で判断する、です。次の問題では、「本文と同じ語があるか」ではなく、「主語・述語・因果・対比・範囲が一致しているか」を確認する。これが具体的なトレーニングになります。
現代文復習シート
- 自分はなぜその答えを選んだのか。
- その考え方の何が間違っていたのか。
- 正しく解くなら、どの順番で考えるべきだったか。
- 自分と正解者の思考の差は何か。
- 次回から、具体的に何をするか。
現代文を伸ばすとは、知識を増やすだけではありません。思考回路のバグを、一つずつ修正することです。
第12章 「解説を理解した」と「自分で解ける」はまったく違う
解説を読めば、多くの問題は「なるほど」と理解できます。けれど、それだけでは危険です。答えを知ったあとなら、正しい説明は簡単に受け入れられるからです。
重要なのは、答えを知らない状態で、その思考プロセスを再現できるかです。数日後に同じ問題を見たとき、正解番号を思い出すのではなく、「どの情報を、どの順番で見れば正解にたどり着けるか」を説明できるか確認してください。覚えるのは答えではなく、解き方です。
第13章 英語も「英語が苦手」で終わらせない
英語でも、原因の分解が必要です。「長文が読めません」では、次の勉強を決められません。
単語なのか
文章の重要語が分からず、意味がつながらないなら単語です。
文法なのか
単語は分かるのに、thatの役割、関係詞、接続詞、分詞構文などの判定で崩れるなら、文法知識の運用に問題があります。
構文なのか
文法事項は知っているのに、長い一文になると主語・動詞・修飾関係が見えなくなるなら、英文解釈の問題です。
処理速度なのか
時間をかければ正確に読めるが、本番時間では終わらないなら、知識の追加だけでは解決しません。処理速度を上げる必要があります。
設問処理なのか
本文は理解できているのに選択肢で落とすなら、読解力ではなく設問へのアプローチを見直すべきです。
同じ「長文が苦手」でも、原因は違います。だから僕は、全員に「まず単語帳を1冊終わらせて、その次に文法」とは言いません。過去問を見てから決めます。
第14章 英単語帳の目的は「単語帳を完成させること」ではない
単語帳で大切なのは、何周したかではありません。本番の文章で必要な単語を処理できることです。
過去問を解いたとき、単語不足が原因で内容を追えない箇所が多い。そこで初めて、単語の優先度が高いと判断できます。必要なレベルまで補強したら、また過去問に戻る。
「全部覚えてから長文」にはしない
3ヶ月間、過去問を止めて単語だけをやる、という進め方はしません。単語を補強しながら、実際の入試問題で改善を確かめます。単語を覚えること自体ではなく、単語力の改善が本番の読解に反映されたかを確認するためです。
第15章 英文法も「問題集を何周したか」で判断しない
Next Stageを何周した、Vintageを何周した。こうした数字は、努力量の目安にはなっても、合格に必要な力を保証してはくれません。
重要なのは、志望校の問題を解くために必要な文法処理ができるかです。長文の構文把握に必要なのか。整序問題で必要なのか。空所補充で必要なのか。文脈判断で必要なのか。必要な形で使える状態にすることが目的です。
第16章 参考書は「勉強の主人公」ではなく「修理道具」
僕の中で、参考書は主人公ではありません。主人公は過去問です。参考書は、過去問で見つかった故障箇所を直すための道具です。
たとえば過去問で、関係詞の処理を誤ったために長文を3文読み違えた。そこで関係詞を参考書で確認し、必要な練習をする。終わったら、また実際の英文に戻る。
参考書を1ページ目から最後まで終えること自体が目的なのではありません。本番で起きた問題を直すために使うのです。
第17章 「勉強した量」ではなく「本番で改善したか」を見る
受験勉強では、分かりやすい数字に安心したくなります。10時間勉強した。単語帳を100ページ進めた。問題集を30問解いた。参考書を3周した。
しかし、僕が最も見たいのはそこではありません。その勉強をした結果、過去問の解き方がどう変わったかです。
- 以前は長文の最後まで到達できなかったが、今は5分余る。
- 以前は現代文の選択肢を雰囲気で選んでいたが、今は4択すべての根拠を説明できる。
- 以前は古文で主語を見失っていたが、今は敬語や助詞から人物関係を追える。
こうした変化こそ、勉強が本番に結びついた証拠です。
第18章 3ヶ月しかない人ほど「全部やるな」
残り3ヶ月。ここで一番危険なのは、焦りから教材を増やすことです。単語帳、文法書、長文問題集、現代文問題集、古文問題集、日本史一問一答。さらに「これも必要かもしれない」と新しい教材を足していく。
しかし、教材の数が増えれば合格可能性が自動的に上がるわけではありません。残り時間が短い人ほど、何をやるか以上に、何をやらないかが重要です。
第19章 合格に必要のない勉強を切る
受験範囲のすべてを完璧にしなくても、合格はできます。必要なのは、本番で合格点を超えることです。
たとえば100点満点で70点取れば十分なのに、残り30点の難問のために100時間を使う。一方で、毎年出る基本問題で20点落としている。これでは優先順位が逆です。
過去問を見れば、何を取るべきか、何は後回しでいいか、どこに時間を投資すべきかが見えてきます。限られた時間では、「全部できるようになる」より、合格点に必要な改善から着手することが重要です。
第20章 過去問20年分から「大学のクセ」を知る
僕は過去問を、単なる演習教材ではなくデータとして見ます。複数年度を並べると、その大学が繰り返し要求している能力が見えてくるからです。
似た設問が毎年出る。特定の引っかけ方が繰り返される。ある処理が何度も求められる。問題形式そのものに特徴がある。こうした傾向が分かれば、勉強は「英語」「国語」という大きな単位から、「この大学の、このタイプの問題を処理する力」まで具体化できます。
第21章 過去問を「消費」してはいけない
過去問は、たくさん解けばよいわけではありません。1年分を解き、答え合わせをして、翌日には別年度へ進む。それを繰り返すだけでは、貴重な問題を消費しているだけになりかねません。
大切なのは、1年分からどれだけ情報を回収できるかです。なぜ間違えたのか。正しい考え方は何か。何が足りないのか。次はどうするのか。そこまで掘り下げます。場合によっては、解く時間より復習・分析に時間がかかっても構いません。
第22章 間違いを「その問題だけ」で終わらせない
ある英文問題を間違えたとき、答えだけ覚えても、その問題にしか対応できません。重要なのは、そこから別の初見問題にも使えるルールを抜き出すことです。
たとえば「この問題はhoweverの後ろを見れば解けた」で終わらせず、「逆接語が出たら、その前後で主張がどう転換しているかを確認する」と一般化する。これなら、別年度の問題にも使えます。
第23章 現代文では特に「抽象化」が重要
現代文は、答えそのものを覚えても意味がありません。1問ごとに、「この問題の正解」ではなく、次の初見問題にも使える思考ルールを取り出します。
- ミス:本文と同じ言葉がある選択肢を選んだ。 ルール:単語一致ではなく、意味と論理関係を見る。
- ミス:自分の常識では正しそうなので選んだ。 ルール:本文に書かれていない常識を持ち込まない。
- ミス:前半が正しかったので、後半を十分に読まずに選んだ。 ルール:選択肢は一文全体で判定する。
ミスをその場で終わらせず、再利用できるルールに変換する。これが復習の価値です。
第24章 現代文の「差分トレーニング」
現代文の復習は、次の4段階で行います。
STEP1 自分の思考を書く
なぜその選択肢を選んだのか。本文のどこを見たのか。何と何を比較したのか。何を根拠に「正しい」と判断したのかを書きます。
STEP2 正しい思考を書く
正解する人なら、最初にどこを見て、次に何を確認し、どの根拠で選択肢を切るのか。順番まで書きます。
STEP3 差分を1行にする
たとえば、「表面的な単語一致で判断していた → 文全体の意味構造で判断する」という形です。
STEP4 次の問題での行動に変える
「次から気をつける」では弱すぎます。「本文と選択肢について、主語・因果・範囲の3点を確認してから○×をつける」のように、実際の行動まで決めます。ここまでやって、初めてトレーニングになります。
第25章 古文も「古文が苦手」では改善できない
古文も、読めない理由を分解します。単語、助動詞、敬語、主語、文脈、背景知識、設問処理。どこで崩れているかを見ます。
たとえば、単語も文法もある程度分かるのに、「誰が誰に何をしたのか」を途中で見失うなら、主語追跡が問題です。その状態で古文単語をさらに500語追加しても、根本原因は直りません。
第26章 日本史は「覚えていない」の中身を分ける
日本史でも、「日本史が弱い」で終わらせません。知らなかったのか。知っていたのに思い出せなかったのか。人物と出来事を取り違えたのか。時代が混ざったのか。漢字が書けなかったのか。正誤問題の細部を見落としたのか。似た制度を混同したのか。
同じ不正解でも、原因によって必要な対策は違います。覚えていないことと、知識を正確に使えていないことは、別の問題です。
第27章 暗記科目でも過去問から逆算する
日本史だからといって、必ずしも教科書の1ページ目から最後まで同じ密度で完璧にする必要はありません。もちろん基礎知識は必要です。ただし、どの深さまで、どの形で知識を持つべきかは、志望校の問題から判断できます。
語句を見て意味が分かればよいのか。漢字まで書けなければならないのか。正誤判定できる精度が必要なのか。時系列まで整理する必要があるのか。大学によって要求される知識の形は違います。
第28章 90日間の戦い方
ここからは、残り3ヶ月をどう使うかを考えます。大切なのは、「1ヶ月目は基礎、2ヶ月目は演習、3ヶ月目は過去問」と機械的に分けないことです。必要な勉強は、人によって違うからです。
ただし、思考の順番には共通点があります。
1〜7日目 志望校を分析する
最初の1週間で、第一志望の過去問を見ます。英語、国語、選択科目。可能なら複数年度を確認し、どのような問題が、どの形式で、どの程度の量で出るのかを把握します。
そして実際に解きます。目的は模試代わりの点数測定ではありません。自分の問題点を発見することです。
最初の分析で見るもの
- 英語:単語、文法、構文、処理速度、設問処理、時間配分
- 現代文:文章理解、根拠の取り方、選択肢判断、思考プロセス
- 古文:単語、文法、敬語、主語、文脈
- 日本史:知識量、知識精度、時代整理、正誤判断、漢字
「弱い科目」を決めるのではなく、失敗している処理を特定してください。
8〜30日目 最大のボトルネックを潰す
ここで初めて、必要な教材を使います。教材から計画を作るのではなく、課題から教材を選びます。
英文解釈が最大のボトルネックなら、そこに大きく時間を使う。単語なら単語。古文の助動詞なら助動詞。現代文の選択肢処理なら、過去問を使った思考差分トレーニング。
最も大きな失点原因から、集中的に潰していきます。
31〜60日目 過去問と修正を高速回転させる
ここからは、過去問 → 分析 → 修正 → 再検証の速度を上げます。過去問を解いて新しい課題が見つかれば、計画を変えて構いません。
最初に立てた3ヶ月計画を守り抜くことが目的ではありません。目的は、合格に近づくことです。計画は、現実に合わせて更新するためにあります。
61〜90日目 本番仕様に仕上げる
最後は、知識量だけでなく、本番での再現性を高めます。何から解くか。どこに何分使うか。どの問題を後回しにするか。時間が押したときに何を捨てるか。迷った選択肢に何分まで使うか。
こうした判断も、一般論ではなく、その大学の過去問を使って調整します。知識を持っていることと、試験時間内に点へ変換できることは別です。最後は「本番で取れる形」に仕上げます。
第29章 1日の計画も「参考書何ページ」から作らない
「英単語2時間、英文法2時間、国語2時間、日本史3時間」。これは時間割ではあっても、課題解決の計画とは限りません。
僕なら、もっと具体的にします。
- 昨日の関大英語で構文を取れなかった原因になった関係詞を復習する。
- 過去問で分からなかった単語を含め、即答できるか確認する。
- 関大現代文の誤答2問について、思考の差分を言語化する。
- 日本史の過去問で間違えた明治外交を整理する。
つまり、今日の勉強が、昨日見つかった本番上の課題とつながっている状態を作ります。
第30章 毎週の計画は「何を・どれくらい・どうやるか」まで決める
「今週は英語を頑張る」では、計画としては不十分です。課題を具体化し、それに対して何を、どの程度、どの方法でやるかまで決めます。
たとえば、課題が「長文で構文が取れず失点」なら、英文解釈の必要範囲を決め、自分で構造を取る、解説を確認する、なぜ取れなかったかを言語化する、翌日に再現する、週末に過去問で再確認する。ここまで設計します。
第31章 「できるようになった」の定義を決める
勉強で危険なのは、「なんとなく分かった」「なんとなくできるようになった」という感覚です。
たとえば関係詞を復習して、解説を理解できた。そこで終わりではありません。次の過去問で、関係詞を含む複雑な一文を自力で正確に処理できた。そこまで確認して、初めて「改善した」と言えます。
理解したかではなく、本番で再現できるかを基準にしてください。
第32章 勉強はPDCAというより「エラー修正」に近い
僕は受験勉強を、プログラムのデバッグに近いものだと考えています。問題を解く。エラーが出る。原因を見る。修正する。もう一度実行する。またエラーを見る。
最初から完璧である必要はありません。重要なのは、エラーが出るたびに、その原因を正しく見つけ、修正することです。受験生の頭の中でも、同じことが起きています。
第33章 「できなかった」は失敗ではなく、最高のデータ
過去問を解いて4割しか取れなかったら、多くの人は落ち込みます。けれど、4割という数字だけでは、次に何をすればよいかは分かりません。
単語が原因なのか。時間なのか。現代文の思考プロセスなのか。日本史の知識精度なのか。原因が分かれば、やることが決まります。
逆に、模試で高い偏差値を取っていても、第一志望の過去問で何を改善すべきか分からなければ、具体的な学習計画は作れません。できなかった事実は、改善箇所を教えてくれるデータです。
第34章 だから僕は「模試の判定」を目標にしない
目標はA判定を取ることではありません。偏差値60を超えることでも、学校で1位になることでもありません。
僕が見るのは、第一志望の問題を、以前より正確に、速く、再現性を持って解けるようになっているかです。
入試本番で大学が採点するのは、模試の判定ではありません。当日提出した答案です。だから普段の学習も、できる限りそこにつながる形にします。
第35章 不安になったときほど、新しい教材を買うな
残り3ヶ月になると、不安になります。SNSを開くと知らない参考書が紹介され、「これをやらないと落ちる」と言われる。買う。少しやる。また別の動画を見る。そして、また教材が増える。
現役時代の僕も、勉強法や参考書の情報を追いかけました。しかし、必要だったのは新しい情報ではありませんでした。必要だったのは、自分の過去問にすでに出ているエラーを見ることでした。
第36章 教材を変える基準は「不安」ではなく「課題」
新しい教材を使う理由は、一つで十分です。今の自分の課題を解決するために必要だから。
有名だから。みんなが使っているから。YouTuberがおすすめしていたから。難関大志望者が使っているから。それだけでは、あなたに必要な理由にはなりません。
過去問で、この能力が足りないと分かった。その能力を鍛えるのに、この教材が適している。だから使う。順番を逆にしないでください。
第37章 逆転合格に必要なのは「努力量 × 方向」
僕は、努力量を否定しているわけではありません。短期間で追いつくなら、当然、相応の勉強量が必要です。
ただし、方向がずれていれば、努力量を増やしても合格には近づきません。北へ行きたいのに南へ全力で走りながら、「もっと速く走れば着く」と考えるようなものです。
まず方向を合わせる。そのうえで量を積む。この順番です。
第38章 現役時代の僕に足りなかったもの
現役時代の僕は、「何をやればいいか」を外に探していました。おすすめ参考書、勉強法、参考書ルート、動画。
けれど、本当に見るべきものは、自分の志望校の過去問と、自分自身の間違い方の中にありました。浪人して、ようやくそこに気づきました。
自分は何を間違えるのか。なぜ間違えるのか。正解するには、どう考えるべきなのか。何が足りないのか。そこから勉強を設計する。僕の受験は、ここから変わりました。
第39章 今日からやること
この本を読み終わったあと、また「最強の勉強法」を探しに行く必要はありません。まず、第一志望の過去問を開いてください。できれば実際に解き、間違いを一つ選んで分析してください。
英語なら
読めない一文を選び、「なぜ読めないのか」を分解する。単語か、文法か、構造か、処理速度か。
現代文なら
誤答を一つ選び、「なぜ自分はその答えを選んだのか」「正しく解くならどう考えるのか」「両者の差は何か」「次の問題で何を変えるのか」を言語化する。
古文なら
どこで意味を見失ったのかを確認する。単語、助動詞、敬語、主語、文脈のどこか。
日本史なら
なぜ答えられなかったのかを分ける。知らなかったのか、忘れたのか、混同したのか、漢字なのか、正誤判断なのか。
ここまでやって初めて、あなた専用の学習計画が始まります。
第40章 偏差値40からでも逆転できる理由
残り3ヶ月でも可能性が残っているのは、偏差値40の受験生が、すべての能力を偏差値70相当まで引き上げる必要はないからです。
関大に受かるなら、関大で必要な能力を優先して上げる。同志社なら同志社。関学なら関学。立命館なら立命館。必要のないことまで、すべて完璧にする必要はありません。
だからこそ、残り時間が少ない人ほど、過去問から逆算する価値が高いのです。
第41章 逆転合格するための10原則
- 模試から勉強計画を作らない。 模試は参考情報。設計の中心は志望校の問題に置く。
- 定期テストだけで入試実力を判断しない。 学校の試験と大学入試は、要求される力が違う。
- 最初に過去問を見る。 基礎完成後ではなく、まずゴールを知る。
- 参考書ルートを先に固定しない。 課題を発見してから教材を選ぶ。
- 実戦力の確認は志望校の過去問で行う。 本番に近い問題で改善を測る。
- 間違いの原因を言語化する。 「ケアレスミス」で終わらせない。
- 正しい思考プロセスを言語化する。 特に現代文では、正解番号より正解までの思考を学ぶ。
- 自分と正解者の差分を見つける。 伸ばすべき場所は、その差にある。
- 差分を埋めるトレーニングを設計する。 「気をつける」ではなく、次の問題で取る行動まで決める。
- もう一度、過去問で検証する。 勉強した内容が本番の問題で改善につながったかを確認する。
第42章 僕が考える、本当の「受験勉強」
受験勉強とは、参考書を終わらせることではありません。模試の偏差値を上げることだけでも、勉強時間を競うことでもありません。
僕が考える受験勉強は、志望校が求めるものと、今の自分にできることの差を見つけ、その差を一つずつ埋めていく作業です。
過去問を見る。できないことを見つける。なぜできないかを考える。正しい処理を言語化する。自分との差を見つける。その差を埋める練習をする。そして、もう一度過去問で確かめる。
やっていることは、驚くほどシンプルです。難しいのは、シンプルなことを、曖昧にせず続けることです。
おわりに
僕は、現役時代、一般入試で全落ちしました。
当時は、「もっといい参考書はないか」「もっと効率のいい勉強法はないか」「どの参考書ルートを進めればいいのか」と、答えを外に探してばかりいました。けれど、結果は変わりませんでした。
浪人してから、考え方を変えました。勉強法を誰かからそのまま受け取るのをやめ、志望校の過去問を見る。自分の失点を見る。自分が問題を解いているとき、何を考えていたのかを見る。そこから、今やるべき勉強を決める。
そのやり方に変えてから、関西大学の一般入試を6日程受験し、すべてに合格。合格者上位20%相当の特待生として合格することができました。
僕は、それを特別な才能の結果だとは考えていません。むしろ、一度失敗したからこそ、分かったことがあります。
努力は、方向を間違えることがある。
一生懸命やっていても、方向が違えば、結果につながらない。だから、残り3ヶ月しかない人に、ただ「勉強時間を増やせ」とは言いません。まず、どこへ向かうべきかを確認してください。
その方向を最も具体的に教えてくれるのが、第一志望の過去問です。模試のE判定でも、学校の定期テストでも、SNSの参考書ルートでもありません。あなたが本番で実際に解く、その大学の問題です。
そして、過去問を解いて間違えたとき、点数だけを見て落ち込む必要はありません。間違いは、次に何を直せばいいのかを教えてくれるデータです。
特に現代文では、間違った答えだけでなく、その答えを生み出した自分の思考を見てください。なぜ間違えたのか。正しく解く人はどう考えるのか。何が違うのか。次から何を変えるのか。一つずつ、頭の中の処理を書き換えていきます。
英語も、古文も、日本史も同じです。できない原因を特定する。原因に合った勉強をする。本番問題で確認する。これを繰り返します。
偏差値40でも、E判定でも、今の数字だけで自分の可能性を決める必要はありません。あなたが変えるべきなのは、「偏差値40」という数字そのものではなく、本番問題を解いたときに起きている、一つ一つの失敗だからです。
単語が分からない。一文が切れない。選択肢の見方がずれている。古文で主語を見失う。日本史の知識を混同する。一つ直す。また一つ直す。その積み重ねの先に、合格点があります。
この本を閉じたあと、新しい参考書を探す前に、まず第一志望の過去問を開いてください。そして、自分に問いかけてください。
「この問題を解けるようになるために、今の自分には何が足りない?」
そこから、あなたの逆転合格は始まります。
特別付録1 過去問分析シート
大学:
学部:
年度:
科目:
問題
問題番号:
自分の答え:
正解:
① なぜ間違えたのか
「知識不足」「ケアレスミス」だけで終わらせず、具体的な原因まで書く。
② 問題を解いていたとき、自分は何を考えていたか
見た箇所、判断した根拠、迷った点まで書く。
③ 正しく解くなら、どのような順番で考えるべきだったか
本番で再現できる順番にする。
④ 自分と正解者の思考・知識・処理の差は何か
差をできるだけ一文で表す。
⑤ 他の問題にも使える形にすると、何が学べるか
その問題だけの答えではなく、初見問題にも使えるルールへ抽象化する。
⑥ その差を埋めるために何をするか
教材、範囲、方法、期限まで決める。
⑦ いつ過去問で再検証するか
検証する日と、確認するポイントを決める。
特別付録2 現代文・思考差分シート
問題番号:
自分が選んだ答え
正解
自分の思考プロセス
「最初に○○を見て、△△だと思った。そのため□□という理由でこの選択肢を選んだ」という形で書く。
正しい思考プロセス
「最初に○○を確認する。次に△△を本文と比較する。□□なのでこの選択肢を切り、最終的に○○を残す」という形で書く。
差分
自分:
正解者:
違い:
抽象化したルール
次の初見問題でも使える形で書く。
次回の具体的行動
「気をつける」で終わらせない。何を見るか、何を比較するか、何を言語化するかまで決める。
特別付録3 英語の失点原因分析シート
読めなかった英文:
単語
知らない単語が原因だったか。
熟語
熟語・定型表現の知識不足が原因だったか。
文法
文法事項を知らなかったのか、知っていたが文中で判定できなかったのか。
文構造
主語:
動詞:
修飾関係:
接続関係:
内容理解
一文一文は読めていても、前後の因果・対比・主張の流れを誤解していなかったか。
設問処理
本文は理解できていたのに、選択肢の比較や根拠確認で間違えていなかったか。
時間
時間無制限なら解けたか。本番時間で処理できなかった原因は何か。
次に直す能力
使用する教材・方法
過去問での再検証日
特別付録4 毎週の学習設計シート
今週、過去問で発見した最大の問題
1.
2.
3.
優先順位1
何ができない:
なぜできない:
何をできるようにする:
どの教材・方法を使う:
どこまでやる:
どの過去問で検証する:
優先順位2
何ができない:
なぜできない:
何をできるようにする:
どの教材・方法を使う:
どこまでやる:
どの過去問で検証する:
優先順位3
何ができない:
なぜできない:
何をできるようにする:
どの教材・方法を使う:
どこまでやる:
どの過去問で検証する:
最後に
過去問を最後に解くな。最初に見ろ。
模試の偏差値だけから勉強を作るな。本番から逆算しろ。
参考書ルートをそのまま信じるな。自分の課題から教材を選べ。
問題集を解いた量で満足するな。本番問題で改善したかを確かめろ。
現代文は答えを覚えるな。自分の誤った思考と、正しい思考を言葉にし、その差を埋めろ。
そして、もう一度過去問を解く。
これが、僕が受験に一度失敗し、そこから関西大学一般入試6日程全勝までたどり着いた、「過去問逆算勉強法」です。